環境内の文字情報伝達システム
 −Character Information From Environment−

  • 研究目的
  •  私たちは多くの情報を視覚を通じて獲得し,それをもとにさまざまな行動をしています.しかしながら,視覚障害者は触覚・聴覚などを通じて情報を得て,周囲の環境を理解しなければなりません.
     そこで本研究では,図1のようなディジタルカメラとノートパソコンなどを用いて,周囲環境内の文字情報を得ることで,視覚障害者が周囲の環境を理解することを支援するシステムの研究・開発を行っています.


    図1 システム構成

  • 研究内容
  •  本研究では,ノートパソコンに取り付けたカメラで図2(a)のような案内板などを撮影し,その画像から文字情報を抽出し(図2(b)),得られた文字情報を音声化して利用者に伝達するシステムを開発しています. 利用者が周囲の聴覚情報も得られるように,片耳のイヤホンで音声情報を伝達します. システムの操作は,マウスを左クリックすると画像を採取し,文字列を抽出・認識して音声出力します.
     取得した文字情報を単に音声出力する場合,利用者の必要としない情報が含まれることもあります. 提案するシステムでは,利用者の求める文字情報を優先的に出力することにしています. これにより,視覚障害者にとって使いやすいシステムになると考えます. 文字情報の優先的な出力は,「注意を促す単語(例:危険,禁止など)」や「一般的名詞(例:地下鉄,手洗いなど)」などの辞書データを事前に登録しておくことで実現しています.


    (a)撮影された案内板            (b)文字列抽出結果
    図2 文字列抽出結果の例(案内板)

  • 研究成果
    1. 鈴木 悠司,竹内 義則,松本 哲也,工藤 博章,山村 毅,大西 昇,”視覚障害者のための環境内文字情報獲得支援システムにおける文字列抽出率の向上と音声出力の順位付け”, 映像情報メディア学会,Vol.58, No.12, pp.1800-1807,Dec. 2004.
    2. 鈴木 悠司,平岩 裕康,竹内 義則,松本 哲也,工藤 博章,山村 毅,大西 昇,”視覚障害者のための環境内の文字列抽出システム”, 電気学会論文誌C,Vol.124, No.6, pp.1280-1287,Jun. 2004.
    3. 鈴木 悠司,竹内 義則,松本 哲也,工藤 博章,山村 毅,大西 昇,”視覚障害者のための環境内の文字情報伝達システム/抽出精度の向上と音声出力の順位付け”, PRMU,Vol.103, PRMU2003-290, pp.37-42,Mar. 2004.
    4. 鈴木 悠司,竹内 義則,松本 哲也,工藤 博章,山村 毅,大西 昇,”視覚障害者のための環境内の文字情報抽出システム/音声出力における順位付け”, PRMU,Vol.103, pp.75-80,Jan. 2004.
    5. 鈴木 悠司,竹内 義則,松本 哲也,工藤 博章,山村 毅,大西 昇,”視覚障害者のための環境内の文字情報抽出システム”, ヒューマンインタフェース学会研究報告集,Vol.6, No.1, pp.137-142,Jan. 2004.
    6. 鈴木 悠司,竹内 義則,松本 哲也,工藤 博章,大西 昇,”視覚障害者のための環境内の文字情報抽出システム”, 電気関係学会東海支部連合大会講演論文集,p.338,Sep. 2003.
    7. 鈴木 悠司,平岩 裕康,竹内 義則,松本 哲也,工藤 博章,大西 昇,”視覚障害者のための環境内の文字情報抽出システム”, PRMU WIT,Vol.102,WIT2002-72,pp.13-18,Mar. 2003.
    8. 鈴木 悠司,竹内 義則,松本 哲也,工藤 博章,大西 昇,”文字情報による環境理解支援システム〜看板領域の発見・撮影〜”, 電気関係学会東海支部連合大会講演論文集,p.680,Sep. 2002.