研究目的 −Purpose−

 本研究の目的は,身の回りに存在する看板・案内板,メニュー,商品の消費期限,ATM等の画面に表示された文字など,視覚障害者が日常生活で必要な文字情報の取得を可能とする,持ち運びできるシステムを研究・開発することです. 本システムは,小型カメラやモバイルスキャナで採取した,文字列を含む画像を計算機で処理して,抽出した文字情報を合成音声で使用者に伝達します. システムの実現は,視覚障害者の切実なニーズに応え,情報保障の一手段を提供します.

研究概要 −Abstract−

 屋外では看板や道標,屋内ではメニュー,ATM等の表示面,商品の説明や消費期限など,生活で必要な文字情報の取得を支援するシステムの実現を目指します. 図1のように,システムは,使用者が保持する小型カメラやモバイルスキャナで取得した画像内にある 文字情報を抽出・認識し,情報の重要度の順に,合成音声で使用者に伝達するシステムです.
 この実現での課題は,高精度・高速な文字列の抽出,斜め方向からの撮影による投影歪み,缶詰などの曲面に書かれた文字など,文字認識を困難にする歪みの有無の検出とその補正です. つぎに,画像内の文字情報を効率的に使用者に伝達するための情報の選択(フィルタリング)と情報の順位付けです. 最後に,良好な解像度で文字領域を画像内に収める撮影方法です(使用者は視覚障害のため,どこに文字情報があるか不明です).


図1 システムイメージ